※ NARUTO連載 睡蓮主人公










ねーちゃんが言い出した”チャクラを使えるようになるんだ!”ってやつ。
オレはてっきり冗談だと思ってたんだけど。

「ナルトー!サスケ!」
「何?」
「何だ?」
「明日って修行も任務も無いんだろ?」
「オレは無いってばよ!」
「オレもだ。」
「よし、んじゃ明日は一日アタシに付き合ってよ?」
「どっか直したりすんのか?」
「買出しか…。」
「どっちも違う。チャクラ捻り出す訓練するに決まってんだろ。」
「……………………えっ!?」
「本気なのか…?」
「おう。本気も本気、超本気。」

その場の思いつきかと思ったあの発言は本気だったらしい。
オレとサスケに明日は三人で特訓だからな!絶対だからな!お昼の弁当は豪華にして〜って、
鼻歌なんか歌って一人ノリノリなんだけど。

「(っなぁサスケ。)」
「(それ以上言うな。)」
「(だってよ?)」
「(忍しか使えない技だ。って今更言えるのか?)」
「(ムリムリムリムリぜってームリだってばよ!)」
「(オレも無理だ。)」
「(それじゃどうすんだよ!)」
「(っ明日…………それとなく。)」
「(オレ上手く言えねぇってばよ…。)」
「(っオレが…………………明日どうにか言う。)」

オレとサスケはただ気が重くなるだけで、いっそ明日なんか来なきゃいいのに!って位気が重くて。
それでも明日は普通に来た。明日飛び越して明後日が来てくれりゃよかったのに、オレとサスケの前にやってきた。





「で?どうやんの?」

見たこと無い位に目ぇ輝かせてオレとサスケを見るねーちゃん。
ねーちゃんは怖いけどすげぇ優しいしオレもサスケもねーちゃんは好きなんだけど。けど!
こんな風に瞳輝かせるねーちゃんは何か怖い。何か企んでそうで、でも何も企んでないから余計怖い。

「説明はオレが…。」
「はーい!サスケ先生お願いしまーっす!」

その上口調が普段と全然違う。これって何かの罰ゲームなのか?

「チャクラとは人間の身体を構成する膨大な数の細胞一つ一つから取り出した身体及び精神エネルギーを
 経験や修行によって蓄積したエネルギーの事で、それを練り上げて印を結んで術を発動する。」

サスケ、そんな小難しい説明オレにも理解出来ねぇってばよ…。
思った通り、ねーちゃんはサスケの説明を腕組して眉間に皺寄せてウーンウーン唸りながら聞いてる。
あれってぜってー聞いてねぇってばよ。

「そのチャクラを上手く使えば水平の壁を登る事も可能だ。」
「要するに、修行と経験がないとチャクラは使えないって事なのかっ!?」
「っああ…。」
「何それ信じらんねぇ!何でもっと簡単に使わせてくんない訳!?」

っていうかさ?そんな簡単に使えたらオレ達いらねーんじゃ?

「んじゃさ?口寄せだっけ?あーゆーのもやっぱ簡単にはムリな訳?」
「口寄せの術ならオレよりナルトの方が…。」

えっ!?オレ指名!?

「ナールートーォォォォォ…。」
「なっ、何だってばよ!?」
「く ち よ せ の 術。おせーて?」
「えええええええええっ!?」
「嫌なのか!?」
「いや、じゃないってばよ?んでもさ?そんな簡単に出来たら…。」

オレなんかおたまじゃくしから成長見守ったってのに…。カエルの定義ってどっからか知らねぇだろっ!!!

「それにオレだって上手く出来る訳じゃないってばよ。どうしても!ってねーちゃんが言うならおっちゃんに頼む方が…。」
「自来也のオッサンか…。」
「それか、カカシ先生とか?」
「ん〜…そりゃカエルより犬のがいいけどさ…カカシさんに頭下げんのが嫌?」

どんだけ我侭なんだよねーちゃん。
サスケなんか完全に諦めて頭抱えて座り込んでるし!ってオレ一人でどうしろってんだよ!ってどうしようかと思ってたら。

「呼んだ?」
「っカカシ先生!?」
「どっから生えた!?」
「だからオレは生えないから。何度言われようと生えないから。」

どうやらねーちゃんの発動した口寄せが成功したらしい。
カカシ先生を口寄せした以上、もう此処にオレもサスケも必要ないよな?

「あっ、あのさ?」
「どうしたナルト。」
「ねーちゃんが口寄せとかやってみたいらしいんだけどオレには無理だから(っていうかもう手に負えねぇってばよ)。」
「仕方ないなー。ならオレが…。」
「さ、帰るか。」
「ちょっと!チャクラの練り方も今ならもれなくついてくるけど!!」
「それだけじゃなぁ…。」
「なら簡単な術も1つ2つ?」
「もう一声!」
「っ奥義とかもちょっと…。」
「乗った!そういうのが欲しかったんだよね〜アタシ。」

っていうかこの期に及んでねーちゃんに奥義とか教えるつもりのカカシ先生が信じらんねぇってばよ。
ホントにねーちゃんが口寄せとか術とか奥義覚えたら誰が責任取るんだ?

「(なぁサスケ…。)」
「(そうだな、そうしよう。)」
「(オレまだ何も言ってないってばよ!)」
「(もういい。帰るぞ。)」
「(っうん…。)」

とにかくここに居るより避難した方がいい。これ以上巻き込まれてもオレ達の心が傷付くだけだ。

「口寄せはまず契約から始めるんだ。」
「それで?」

っていうかさ?マジでカカシ先生一人口寄せ出来れば十分じゃないのか!?










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結局何も出来ず断念。が、チャレンジは続く…。










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