序.00


何ら変化の無い毎日。
変わり映えしない日常に、飽きた!だとか、刺激が欲しい!と感じる事も無くなってしまった。
俗に言う、面白みのないつまらない人生。とでも言うべきか。
それでも、そんな日常でもそれが私の人生なのだから仕方ない。
と、ある種の悟りに近い、くだらないのか真剣なのか判らない、
悩みなのか悩みじゃないのかわからない
そんな事を考えてぼんやり歩いていた時だった。

── キキーーッ

急ブレーキ音が聞こえた。
それもどこか遠くでも近くでもない、自分の直ぐ側でそれが聞こえた瞬間。

── ドンッ!

激しい衝撃と共に身体が宙を舞う感覚に襲われた。
一瞬の出来事に、自分に起きた事を把握する事も出来ず、
それでも今後の展開だけは予想できた。

(あれだ、これは確実に逝ったな)

それが、確信として頭に浮かんだ。
思い残す事だとか先立つ不幸を謝罪する相手を考え、考えている内に
どんどん意識が闇に引きずられ、結局何も纏まらないままブラックアウト。



















── …きろ…。

ん?…きろ?生きろ?

── …けて…いで…きろ…。

けていできろ?けてい…けてい…けてーい…決定!?
まままままさか!?決定!生きろ!?
つまりアタシ、死んでないかもーーーー!?ってのは、アレか。
安易過ぎるか。

「いつまでも寝ぼけてないでさっさと起きろ!!」
「待ってあと1〜2分…」
「んだその中途半端は!!いいからさっさと起きないと…」
「…ったわよ…起きればいいんでしょ…」

誰だか知らないけど、起きないと何かされそうな予感がしたから
渋々ながらも身体を起こした。

「…………え?」

そして、全く心当たりのない部屋の様子に首を傾げ

「…………何で?」

その、心当たりもなければ見覚えのない部屋のベットで寝ていた自分に違和感を感じ

「…………あ、あれぇ?」

さらについさっき、アタシを起こそうと躍起になっていた相手の顔を見て愕然呆然
開いた口が塞がらずにその口から魂が半分抜けるのが見えた。

「さっさとしねぇと遅刻すんぞ?杏子」
「あ…あんず?」
「まだ寝ぼけてんのか?先に下行ってっからな!」

説明しよう!じゃないいいぃぃぃぃぃ!
誰が杏子だ!アタシはそんな名前じゃない!アタシの名前はだ。
それどころじゃない、そうじゃないのよしっかりしてアタシィィィィィ!
さっきアタシを『杏子』と呼んだのは誰?アタシは彼を確かに知ってるけれど知らないし!!
まてまてまてまて落ち着けー。
落ち着いて考えろ!

「あんずー!まだ着替えてねぇのか!?」

嫌ぁぁぁぁぁ!考えてる暇がなぁぁぁぁい!!
今は他に何をおいても考えなきゃならないのに。
なのにアタシには考える暇もなく、今はただ着替えなければならなかった。
慌てて壁に掛けられていた制服に着替えて急いで階段を駆け下りるアタシ。

こ れ が 夢 な ら 覚 め て く れ !!!!!!





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2008.08.15