本.11


只今絶賛激怒中。

アタシは久しぶりに激怒していた。
うん、激怒っつーか怒り心頭?いやむしろブチ切れというべきか。
と も か く !
アタシは怒り狂った阿修羅の如く形相で、現在三代目と対決中だったりする。

事の起こりは数分前だろうか。

今日はアカデミーとやらの卒業試験だとかどーとかで、
朝から張り切るナルトはやっぱり元気ハツラツで。
その元気が空回りしなきゃいいけど、とアタシは心配していた。
まぁ、卒業試験改め卒験を2度程落っこちてるらしいし、今更慌てても仕方ない。
それに、アタシが出来る事っつったら応援してやる位しかないし。

「ナルトっ、頑張れよ?合格したらお祝いしようぜっ!」
「おーーーーーーっ!」

アタシはそうナルトを元気付けて送り出した。
そしてアタシは仕事へ向かい、仕事を終えたその足で、初めてアカデミーってトコに行ってみた。
案の定、ガキの試験結果を気にする親達で溢れ返っていたアカデミーは賑やかで、
その群れの様子に再び風紀委員長の顔が浮かんだが。
群れの中に、三代目だとかイルカ先生他、常連さんの顔もチラホラ見える。

(気を引き締めとかねーとボロが出る…。)

アタシは気を引き締めなおし、可愛いナルトを探して辺りをウロウロするのだが。
群れの中に当然ナルトの姿は無く、何処からとも無く聞こえてきたヒソヒソ話に耳を傾けつつ
アタシはナルトの姿を探した。

がっ!

オイオイオイオイ、マテコラ。
群れのババァ共の話すヒソヒソ話はアタシにとっては重大問題で、

(あんのバカがっ!!)

そのババァ共の視線の先にナルトはいた。
項垂れ、一人離れた場所でポツンと佇むその姿にアタシの中のアレがムクリと鎌首を擡げ

『フン!いい気味だわ。』

どこかのババァが放ったその一言でアタシの中のアレが切れた。
俗に言う、堪忍袋の尾ってやつが。

「ナルト!!」
「ねーちゃんっ!?」
「こっち来い。」
「オレ…。」
「いいから黙ってコッチに来い。3秒だけ待ってやる、さーん…にー…」
「判ったってばよ!」

アタシは群れの目など気にする事無く(むしろ無視)ナルトを呼び寄せ

「痛ってえぇぇぇぇぇっ!いきなり何すんだよねーちゃんっ!?」

力の限りに振り下ろした拳でその頭をボコる。
当然、その様子に一瞬にして辺りは静まり返り、
群れのババァ共に、三代目にイルカ先生や常連の目がアタシとナルトに集まった。
おし、チャンンス到来。
アタシはここぞとばかりに声を張り上げ高らかに宣言しまーっす。

「オイそこのババァ。それ以上くだらねぇ口叩いたらテメェんトコのガキの首へし折るぞ。」

うん、上手くドスの聞いた声が出たぞっ♪
そんな、アタシの仰天発言?におそらく一番驚いた顔をしたのはナルトだったかもしれない。

「ねーちゃ…ん?」

アタシのいつも以上に迫力?のある声に怯え、恐る恐るアタシを見上げ

「!!!!!」

さらに、いつも以上に迫力のあるであろうアタシの顔に後退る…ってヲィ!
アンタがビビってどーするよっ!

「お前は帰ってから説教だ。先に帰ってろ、いいか?真っ直ぐ帰らなかったらテメェ…」
「わわわわわ判ってるってばよ!」

ついでにもう一発頭を殴り、アタシはナルトをこの場から離れさせ、

「さぁて、そっちのババァ…」
「なっ…何なのアナタ!?」

再び声のトーンを落とし、アタシより頭一つ分背の高いババァに向けて言い放つ。

「てめぇんトコのガキの面、覚えたからな。次にくだらねぇ口叩いてみろ、そのガキの首へし折ってやる。」

アタシの本気は当然そこにいる全ての人間が冗談だと取っただろう、
居合わせたババァの群れは口々にアタシに対する悪態をつくが。

「聞こえねぇなぁ…文句あんなら声張れよババァが。」
「「「「「なっ!!!!!」」」」」

たかがババァの群れの一つや二つでアタシが怯むと思ったら大間違いだ。
アタシがどれだけ本気か、見せてやろうじゃねぇか。

一番最初、アタシを切れさせたババァのガキの面もしっかり覚えている。
そのガキの腕、掴んでこっちに引き寄せてからそのまま後ろ手に捻り上げ

「痛い!何すんだよっ!」
「ちょっとアナタ!ウチの子に何するつもりなのっ!」
「ハッ…聞こえなかったのか?さっき言っただろうが。くだらねぇ口叩いたらガキの首へし折るってな!」
「うわーーーんっ!」
「ケッ…コレ位でビービー泣いてんじゃねぇぞガキがっ!」

ついでに頭に一発食らわせて仕方なく解放してやった。
ようやくアタシの行動が、本気だと伝わったのだろうババァ共は
慌てて自分のガキ連れて蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。

「!お前は一体何を考えておるっ!」
「よ!ジジィ久しぶりじゃねーか。」
「よ!ではないわっ!こっちへ来いっ!」

とまぁ、そんなこんなで?アタシは三代目のジジィに強制連行された訳ですがー。





「大体お前の口は何じゃ!悪いにも程があるだろうっ!」
「えー?アタシ意味わかんなーい。」
「あんな真似をして、親共が黙っていると思うのかっ!」
「は?黙ってねぇなら黙らせてやるぜ?」
「その態度がイカンと言っておるのが判らんのかっ!このバカモンがーっ!」
「へいへい…。」
「っ!」

対決、というにはまだまだだね。なアタシとジジィのやり取りに、
そこに運悪く居合わせた先生だったり上中下忍だったり?(よー知らんが)は
遠巻きに様子を伺っている。
そんな中、来るんじゃねーかなーって思ってたあのクソがやっぱり案の定来やがった。

「とうとうその減らない口で騒ぎ起こしたって訳か。」

ハイ、今日もピッカピカにお手入れされた狐のお面でそのお顔をお隠しになられてる
ヤツが口を挟んできた。カカシです、カカシの野郎ですよ!

「ナニソレイミワカンナイー」
「どう考えてもお前が悪いデショ。」

ほう、それがどういう見解で至ったのか聞いて見たいなぁ。

「そやつの言う通りじゃ!どう考えてもお前が悪いわっ!」

ほうほう、口を揃えて皆アタシが悪いと?
周り見てみりゃ、うんうん頷いてるヤツが数人目についた。
うん、バッチリ顔覚えたから今度店に来たら3割増し料金にしてやろう。

「へぇ…アタシが悪なのね?あっそう。じゃ…」
「何じゃその目はっ!その…儂が言い過ぎたかもしれん。少し落ち着け…」
「三代目、少し落ち着いて…」
「言っていいかなぁ、アタシが思う事を。」
「言い訳でもしようっての?今更?」
「はぁ?何ふざけた事抜かしてんだナナシ。」
「だからオレはっ…」
「テメェは黙ってろ。」
「くっ…」
「で?どーするジジィ、アタシの主張っつーか話し、聞く耳ある?」
「っその…また長いのか?」
「そうだなー今回はさらに説教までオマケできますわよオホホ…」
「「………短めで頼めるか?」」
「よーござんすよ。んでは…」

商談成立、という訳で。
ワタクシ再び語らせて頂きます、合掌。
尚、今回は相当怒りを含みます故お覚悟なさいませっ三代目っ!





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2008.09.10