◇◆ The First Year  -序章- ◇◆
              









むかし   むかし あるところ ひとりの王子が旅に出ました


そんなある日 道に迷った王子は 森の奥に隠れるちいさな教会で 美しい姫と出会います


---なんと美しい姫だろう


王子は姫を 好きになりました。


それから ふたりは毎日教会で会い そして深く愛し合うようになりました


しかし そのことを知った国王は 国中におふれを出しました


『我が姫をたぶらかす者を今すぐにここへ連れてまいれ!』


国王のめいれいで 王子は捕らえられてしまいます


国王は王子に たずねました


『旅の王子よ そなたは本当に 姫を好いているのか?』


『わたしに うそ偽りはございません』


そして 国王はたずねます


『その言葉は ほんとうに 偽りではないのか?』


『姫の愛があれば いかなる困難も 喜びになるでしょう』



すると 国王は


『ならば今すぐ はるか遠く この世の果てにある国へ旅立ち 再び戻ることがかなえば……。』


その時こそ そなたの言葉を 信じよう










こうして王子は 遠い遠い国へ 追放されてしまうのでした


旅立ちの朝 悲しみにくれる姫に 王子はこう告げました





わたしは 旅出たねばなりません


でも どうか 悲しまないでください


わたしの 心は あなたのもの


今 世界の果てに 向かう身であろうとも


必ず     いつか必ず     迎えにまいります………と。


















 




















































……見て、あの窓。





ステンドグラスっていうんだ。





この本のお話と同じだ……。





この教会なんだ、きっと……。




















……もう行かなきゃ……。






























王子は、
なからず迎えにくるから……。































……約束。





































































むかし むかし あるところに 一人の美しい姫が 住んでいました


森の奥 奥深くにあるちいさな教会で 毎日姫は祈りをささげます


むかしむかし旅に出た 王子の無事と 王子と交わした約束が


叶う日がくる事を 信じて……。