本.03 フワリフワリ 風に舞う花弁のように、黒揚羽は現れたが。 はい、本日2回目の連続登場だから情緒もへったくれもない。うんいやマジで。 おまけに、最初の蝶がルキアの登場合図だと思いきや!? 想定外のギンちゃんの登場にビックリだわそのお陰で2度目の蝶もまた!? って思ったらルキアだったもんだから、 結局どっちも口から何かぶっちゃけるかと思う程に驚いた訳ですが。 只今、ルキアが目の前を横切っております。 「なぁ杏子、お前アレ見えて…」 「見えてないって事にしていいかな?」 「出来れば認める方向にしてくれ…頼む!」 「一護、他人ってね?案外冷たいものよ?」 「俺達他人じゃねーだろっ!」 そして、姉弟でその現実から目を背けるかどうか?の相談をしております。 もちろん、ルキアがそれに気付く筈もなく 「近い…」 「近い…じゃねぇだろ!!」 「なっ!?貴様私の姿が見えて…いや今蹴って!?」 存外気の短い一護が丁寧にもアタシを蚊帳の外に出してくれた後、おっぱじめた。 えと、確かこの後一護がルキアに鬼道でふん縛られて、色々説明があって、 虚の咆哮が聞こえて一護が自力で鬼道を解いて廊下に出たら夏梨が倒れてて。 一護は急いで下に向かってそれに驚いたルキアが追いかけて、 んでもって、ご対面な虚が遊子を…って遊子が!! 「おい杏子!?どこ行くつもりだっ!」 一連の流れを思い出し、アタシは一護を放置したまま急いで夏梨の部屋に行く。 「杏子姉ェ?どうかしたの?」 「いいから!」 そしてその腕を掴み、階段を駆け下りた。 リビングは既に、寒気がするような空気が充満している。 「お父さん!遊子!」 「杏子?そんなに慌ててどうした!?」 「いいから早く!」 親父はあれだ、オッサンだから放置してもいいが、問題は夏梨と遊子だ。 何があっても、アタシ達が守らなきゃならないのはこの子達で、 アタシは遊子の手も掴んで急ぎ逃げようとしたんだけど。 (ヤバっ…どこに逃げればいい訳!?) えーっと確か虚ってのは霊圧が高いのがお好みで、夏梨と遊子なら夏梨の方が高いんだけど。 それでも遊子も他と比べれば十分霊圧は高いから、多分弱そうな遊子が先に虚に捕まったんだろう。 アタシは二人の手を握ったまま、一番安全そうな場所を急いで考える。 (どこだ?どこに逃げれば一番いい?) いずれは捕まるにしても、時間を稼がなければならない。 「杏子姉ェ?」 「夏梨、遊子を連れて…っとトイレ!トイレに隠れてて!」 確か、家の中で一番頑丈なのがトイレで、地震の時はトイレって案外安全だって聞いた事がある。 「何?どうしたの杏子姉ぇ…」 「いい遊子、夏梨と一緒にトイレに隠れて絶対出て来ちゃだめよ?」 「杏子姉ェはどうすんの?」 「アタシはお父さん連れてくるから!」 小さな可愛い妹を、誰が傷一つ付けさせるもんか! あの子達は、何に変えても絶対守りきってみせる! アタシはリビングに戻り、親父を引きずってトイレ前に立たせ 「いい?中に夏梨と遊子がいるから死ぬ気で守ってよ!?」 「あああああんず!?」 「あの子達に傷一つ付けたら、お父さん、下ろすわよ。」 「判った、判ったからお父さんにそんな物騒な台詞を…」 (来た…) アタシは激突音の響くリビングへ一人戻った。その刹那、 崩れた壁の向こうから、こちら側を覗き込む虚と目が合った。 (………キモっ。) あれだ、元は人間とはいえ、成仏しきれなかった上にこんな姿になるんじゃ 死んでも死に切れないわ、ホント。 ともかく、これ以上中に入れなければ夏梨も遊子も傷付く事はない。 折角虚と目が合ったんだから好都合。 アタシはそのまま表に飛び出し、そして…。 -------------------- 2008.08.23 ← □ →