本.43


門前でのすったもんだも辛うじて収束した。
その後、落ち着いた頃を見計らい夜一さんが今後の行動の説明を始め、
翌日には空鶴さんちへ行き、あっという間に瀞霊廷突入当日となった。
ちなみにそこまでの一護と岩鷲とのすったもんだはお約束だから割愛する事にして。
この先は夜一さんとチャドが単独、石田・織姫チーム、一護・岩鷲チームの4組(?)に別れる事になるんだけど。

───── さて、ここからどうするかなぁ…。

アタシは誰と行動を共にするべきか?を今だ決めかねていた。
一護・岩鷲チームと一緒に行動するのは命の危険が伴うから絶対ヤだし?
単独行動はムリな気がするからっていうか一人は何か味気ないっていうか寂しいから嫌だ。
かといって石田・織姫チームに同行するとなると石田の負担が目に見えて肥大するだろうから(可哀想だから)
これも却下だし、残る夜一さんかチャドと一緒に行動するしかないけど。

───── 夜一さんは単独の方がいいんだっけ?

確かその方が都合がいいとかどーとか呟いてたような気がする。
もしその夜一さんと行動を共にしたとして、一護と合流した時にアタシがそこに居ていいのかどうか?が解んない。
それ以前に猫の夜一さんに付いていけるかどうか?を考えるとまぁ不可能だろう。
となると、チャドと一緒に行動するのが一番無難っていうか安全っていうか当たり障りないかもしれない。

───── よし!んじゃチャドと一緒に瀞霊廷内徘徊するかぁ…。

一護と岩鷲が口汚く罵り合う中、アタシはようやく自分のこれからの旅仲間を決めた ────────── 筈が。

「それぞれ近くのおる奴を掴め!!絶対に離れるなよ!!」

夜一さんの言葉にそれぞれが手を伸ばし行動を取る中

「ちょ…一護っ!?」

何故か一護はいの一番にアタシの腕を掴んだ。

「離れるなよ杏子っ!」
「っ!!(ちょっと冗談でしょ!?)」
「石田っ!」
「茶渡くんっ!?」
「うわぁぁっ!?」
「「チャド!!」」
「案ずるな!奴なら必ず生き延びる!!」

結果、アタシは真っ先に却下した一護・岩鷲チームに組み込まれる事になり

「「「ぶっは ────────── っ!!」」」

砂塗れ状態で瀞霊廷に突っ込んだのだった………っていうか、砂場に突っ込んだ事が幸いしたのか

『いいっスか?夜一サンとの距離が1Km以上離れた場合、受信が不可能になります。』
『そ、それはつまり?』
『夜一サンから得ている力の恩恵を受けられなくなるという事っス。』
『えーっとつまりそれは…。』
『つべこべ言わずに夜一サンから離れなければいいだけの事っスよ。』
『………ハイ。

絶対忘れちゃいけない事を忘れてた事を思い出す事に成功した。

「ついってる ──────────────────── ん!!!」
「 ………………………………………………………………… 」
「 ………………………………………………………………… 」
「 ………………………………………………………………… 」

そして、最初の戦闘となるつるりん一角&弓親にご対面したのだったが。アタシからすればそれどころじゃなかった。
この後アタシどうすんのどうすりゃいいのいやマジで。
夜一さんから離れたら最後アタシは自力歩行もムリかもしんないっていうのに
目の前で派手に戦闘とか始めないでもらえるかしら見てるのもムリだから!!!!
いっそ岩鷲のようにこの場から逃走しちゃう?いやそれもムリかもしれないっていうかムリだ。

───── うわーん夜一さん戻ってきてぇぇぇぇぇぇ…。

最も行動範囲の広い一護と岩鷲に夜一さん無しでアタシが着いて行ける筈がない。

───── コレ絶対喜助さんの祟りだぁぁぁぁぁぁ…。

忠告をど忘れしたアタシが悪いのは解ってる。解ってるけど絶対祟りに違いない。
っていうかどう考えたって夜一さんと行動すんのが一番安全だったのに!
足手まといにならずに済むのはトロ(猫)夜一さんといっしょが一番だったのに。
それもこれも全部一護の所為だ!一護がアタシの腕掴まなかったらこんな事にならなかったのにぃ!

「一護のおバカあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「なっ、何だよ急にっ!? 」
「 ………………………………………………………………… 」

おのれ愚弟めどうしてくれようかっ!!!!!




















その頃の現世。

『 ガガガッ────── ガッ ──── ピ ────────── ッ…。』

********** しばらくおまちください **********

バキッ!(破壊音)

───── あれ程離れるなと忠告したのにこのザマっスか。(傍受やむなく断念)





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2010.02.25