こんにちは、です。 私が、ゼロライナーの客室乗務員ではなくオデブちゃんとして 搭乗(登場)するハメに陥って早や1週間が過ぎました。 うら若き乙女である私が、オデブちゃんとして過ごさなければならない生活は非常にスリリングなもので、 ぶっちゃけると最初の数日はわが身に起こった呪わしい理不尽な状況に幾度となく枕を涙で濡らしました。 けれど、そんな生活を1週間も過ごせば人間誰しも耐久性というか、順応性が働くというか? 徐々に痛みにも慣れ親しんでいく訳なのです。 「侑斗、好き嫌いは良くない…。」 「うるさいっ!」 食事時のそんなやり取りにも慣れ、 「また椎茸残して…」 「だから椎茸入れんなっつっただろっ!」 「痛っ…ゆ、侑斗!」 「つべこべ言うなっ!」 「イタタタタタタタタ!侑斗っ、許してくれっ…」 「じゃ二度と椎茸入れないって約束するか!?」 「そ、それは…」 「じゃ…」 「ぎっ…ぎぶっ!侑斗おぉぉぉぉぉぉぉっ!」 侑斗による背後からのスリーパーホールドの痛みにも慣れ(たくなかった)、 順風満帆波乱万丈ではありますが、ワタクシは一応オデブちゃんとしての使命を真っ当していたのです。 がっ! ある日、自室として使用させて頂いているオデブちゃんの部屋を掃除している私の目にふと入った質素な机。 仮にも人様の部屋ですし?私にだって遠慮という物がありますから それまで私はその机には触れないようにしていたんです。 なのに、その日に限って私の視線は机に釘付け。 特に、その机の真ん中の引き出しに恋でもしちまったのか!?な熱い視線を向ける始末で。 「失礼しまーす……。」 私は本来の所有者であるオデブちゃんに謝罪しつつ、軽い興味本位からその引き出しを開け、 そして一冊の手帳を発見したのです。 桜井家の台所事情の全ての記された、家計簿という名の手帳を。 私はその手帳にザッと目を通し、目頭が熱くなる自分に気付きました。 知識のある私にとって、それは判っていた筈の事だというのに今更気付くとは、 本当に私はどうかしていたのかもしれません。 ─── 侑斗の浪費癖がここまでとは…。 月々に掛かるエンゲル係数も然る事ながら、ともかく侑斗の交遊費が半端ねぇ! そんな明らかな無駄使いの出費が嵩み、桜井家の残高(遠征資金?)は残り僅かというお粗末な状況で。 「っこれはどうすれば…。」 現状が、一体どの辺りなのか?は私には未だ理解出来ておらず、 その残高で果たして残りの時間を過ごせるのか?も判らない私。 否、この残高では残り時間がたとえ2日でも過ごすのは無理かもしれない…。 「オデブちゃんってやりくり上手だったのね、やっぱり。」 オデブちゃんの座を頂いた以上(不本意ではあるが)、 私が桜井家を守り抜かねば誰がやる!?と、拳を握り締めるも現実はそう簡単にいくものでもなく。 「何かヒントは…。」 あのオカン属性丸出しのオデブちゃんの事だ、侑斗の為と何かしら秘策を持っているに違いない! と、私は家計簿の隅々まで目を通しそして。 「これ…なのね。」 発見したのです。オデブちゃんが如何にこの逼迫した経済状態を乗り切っていたか?を。 私の知る限り、ある筈のない臨時収入を示す金額に私は気付きました。 これは多分オデブちゃんが生活していく為に身を削った証。 「額面からすればとっぱらいのアルバイト…かしら?」 1〜2週間に一度、数万円の入金を示すソレはおそらくオデブちゃんの汗水垂らした結果なのだろう 私はオデブちゃんの健気さに再び目頭を熱くした…が。 「この姿で出来るアルバイトって一体…。」 どうせならバイト先のヒントを残して欲しかった………。台所事情は火のクルマ!?-------------------- 2009.01.13 ← □ →