こんばんは。
ワタクシは本日も深夜のコンビニエンスストアにてアルバイトの真っ最中。
接客スキルも上がり、他のアルバイトの方とも慣れ親しみ、出勤時は精一杯頑張っている次第ですがっ!

「ねぇねぇ、おねぇちゃんになってよ!」
「は?」
「おねぇちゃんって呼んでいいよね?」
「はぁぁぁぁ?????」

そろそろ日の出が見れそうな午前4時39分50秒位?に崖っぷちに立たされておりました。
事の発端はそう、かれこれ一週間前になりますでしょうか。

当店の裏手は空き地になっておりまして、どうやらその空き地に子猫が捨てられた模様でした。
時折聞こえる切なくも悲しい歌声のような啼き声に、私は居てもたっても居られず、
レジを通したばかりのMY朝ご飯のお弁当と牛乳パックを手に空き地へと走りそして、
そこで運命の出会いを果たしたのです。

「ねぇ。子猫知らない?」
「わわわわわわ…。」
「昨日二匹居たんだよね。子猫知らない?」
「ししししししししし…。」

ちょ!何でこの明け方にリュウちゃんinな良太郎くんが居るの!?
な、ガチで衝撃的な突然の衝突事故のような出会いが子猫の代わりに在りました。

「それ…」

そしてリュウちゃんは思いのほか目敏く、私が手に持つお弁当をすぐさま発見。

「子猫にあげるんだよね?そうだよね?」
「え、ええまぁそのつもりですが。」
「それ、僕にちょーだい?」

NOとは絶対言わせない、否!言えなくなるような子猫はお前じゃねーのか?的な潤んだ瞳で
私に迫ってきたのです。

「くれるよね?」
「どうぞ…。」

当然私が拒絶など出来る筈もなく、お弁当はリュウちゃんの手へと渡りました。その上、

「ね、明日も来る?」

その問いの語尾、答えは聞いてないけどってのが見えた私は当然頷く事しかできず、
その日以降、深夜(というか明け方)のリュウちゃんin良太郎くんとのランデブーが始まったのです。

がぁあああああああああああああああっ!

あの衝撃的事故(?)から数日。
一体どこでどうなってそうなって?結果それに辿り着いたんだよヲィィ!なリュウちゃんは、
冒頭にある通り私に向ってそりゃもうニッコニコな笑顔を浮かべスキップしながら私の周りを
グルングルン回り続けるのです。

「やったー!本当のおねぇちゃんが出来たー!」

いやまじで、一体どこでそんな結果をはじき出したのか?否それ以前に本当じゃないから!

「あっ、あのですね?私、っその…良太郎くん…だとは思うんですよ君の事。でも何かこう…」
「あ?僕まだ名前言ってなかった?僕の名前はリュウタロスリュウちゃん!」

ちょっとリュウちゃんそこは否定しなきゃ!ぶっちゃけちゃダメだってば!

「いやいやいやいや、どう見ても私の知ってる良太郎くんがちょっとだけ人が変わっちゃっただけにしか…」
「良太郎じゃないもん!僕リュウちゃんだもん!」

だもん!じゃねーよ可愛いけど…。

マズイ、このままペースに乗せられては敵の思うツボ。
寧ろこのままでは引き返せない所まで連れて行かれた挙句下車出来なくなってしまう。
そんな恐怖から私は涙を飲んで

「ごめんなさい。私、アナタとはまだ知り合ったばかりですし…っそれにアナタ、私の名前知らないでしょう?」
「僕知ってるー!おねぇちゃんだよねー?」

だ か ら、ねー?じゃねぇよ…。

「それにお互いの事よく知らないでしょ?」
「僕おねーちゃんの事大好きー!猫にやさしいしぃ?僕にもやさしいよねー!」

身に覚えがございませんが。

「ほっ、ほら!私は良太郎く…。」
「リュウちゃん!」
「りゅ、リュウちゃんの事が好きとか嫌いだとか、そこまでお互いを知り尽くしてる訳ではないと言っている訳でして…。」
「おねぇちゃん、僕の事嫌い?」
「うっ…」
「僕より良太郎の方が好きなの?」
「は?そうじゃなくて私は…。」
「良太郎が居なかったら僕の方が好き?」
「っそれはどういう意味デスカ…。」
「判った!良太郎が居なかったら僕のおねぇちゃんになってくれるんだ!」
「違います違います全然違いますおねぇちゃんでいいです是非おねぇちゃんにならせてください!!!」
「やったー!ねね、カメちゃんも聞いたよね?????カメちゃん証人ね!」

いたのかカメ公だったら止めろよテメーんトコの仲間だろうがぁぁぁぁぁっ!!!

「それじゃまたね!おねぇちゃん♪」
「ハハハ、ソレデハマタ…。」

これで良い訳はない。良いはずないじゃないですかーーーーー!な展開だというのに。
私如きがリュウちゃんの暴走を止められる筈もなく、なし崩しの形で自分から懇願するという
言い逃れも出来ない状況を招いてしまいました。

「ホント、ちゃんって結構間抜けっていうか…。」
「居たんだったら止めてくださいよぉぉぉぉぉぉっ!」
「ゴメンゴメン、僕も今来たところなんだ。」
「うっうっうっ…。」
「まぁ…オネーチャンになって!じゃなかっただけマジじゃない?意味合いが全然違ってくるしねぇ。」
「もっとヤですうぅぅぅぅぅぅ…。」
「僕に助けて欲しい?ちゃんが望むなら助けてあげるよ?その代わり、判ってるよね?」
「全っ然判らないですヤですうぅぅぅぅぅわぁぁぁぁん!」
「しかしちゃんってさ、結構うろたえないよね?僕とリュウタと知り合いだって何で気付いたのさ。」
「えぇええええっ!?知り合いだったんですか!?」
「ものすごーく白々しいよね。何でカメちゃんで僕だって判った訳?」
「適当です!適当だったんですよそれ位テンパってたんですよ判るでしょ判ってくれるんでしょだから居るんでしょ!?」
「ま、そういう事にしておいてあげるよ。」
「っていうかウラちゃんもリュウちゃんも良太郎くんじゃないですかーーー!!」
「他人の空似、ってね。」
「どこがーーーーーーーっ!」

そして、私はこの日の自分の行動が如何に愚行だったか?後々気付く事になるのです。










-------------------- 2009.05.27