本.23


ナルト達が波の国へと向かってから今日で3日、
アタシはこの世界へ来て初めて一人で過ごす時間を体験中な訳だが。

ぶっちゃけ暇過ぎる。

ナルトとの生活に暇が無かった訳じゃない、そうじゃない!
そうじゃないんだが、こう生活に張り合いがないっつーか、一人だから
つい自堕落っつーか適当になっちまうっつーか、うんよー判らん。

ともかく、一人で過ごすという日々がたった3日過ぎただけで、
アタシはどうやら限界寸前を迎えていたらしい…。




「はぁ〜…っ。」

酸欠でもあるまいに、脳は上手く働かん。
何か考えようとしても全く上手く働かない思考を働かそうと努力した結果、出るのは溜息だけで、

「………なんだがどうだ?」

他者の言葉が全く耳に入ってこない。
正確に言えば、誰かがアタシに話しかけてる事自体気付いてなかったりする。

はぁ〜…っ、今晩はどうすっかなぁ…。
一昨日の残りのカレーが冷蔵庫にあったっけ?
それでも食って寝るか…。

「聞いてんのかお嬢?」
「はぁ〜〜〜〜っ……。」

早く帰ってこねぇかな…ナルト達。
退屈でつまんなくて、このままじゃアタシ、ウサたんになって死んじゃうかも。

「、聞いてんのか?」
「誰が熊だゴルァ!」
「全然聞いてねぇなお前…。」
「あれ?いたのアスマさん。」
「かれこれ1時間前からな…。」

ウサたん改め、ワタクシの前に(カウンターに)座ってたアスマさん。
やだなぁ、居たなら早く言えばいいのにっ!

「で?何か言った??」
「お前、重症だな…。」

いそいそまかない飯を用意し、アスマさんに出しつつ自分も厨房側でまかないを食いながら、
そういや何か話し掛けられてたかもしれん!と思い出したアタシ。

「たった3日アイツが居ないだけで腑抜けじゃねぇか?」
「そりゃ…面倒見てた訳だし?」
「それにしたって、だろ?随分と仲良くなったもんだなアイツと。」
「仲良く…って何それ?仲良いとかそんな軽い関係じゃねぇし!」
「ほほぅ…。」

そう、今やアタシにとってナルトやサスケは生活の潤いだ。(何か違うか)
アイツ等の面倒見て、世話してってのがアタシの生きがいになりつつある訳だし?

「たった3日居ないだけなのにさ、この世にたった一人になった気さえするよ…。」
「つまり…あれか、ってやつだな。」
「愛…か、そう…かもしれない…。」
「お嬢がそんな事言ってたって知ったらカカシの野郎、泣いて喜ぶんじゃねぇか?」
「ダレデスカ?ソレ。」

どんな勘違いしてくれんだこのオッサンは^^^^^

「あのさアスマさん、アタシが言ってる相手はナルトとかサスケとかナルトとかサスケの事だし!」
「照れなくてもいいと思うぜ俺は。」
「照れてねぇよ!!」

むしろ、カカシの事なんざ今の今まですっかり忘れとったわっ!

「勘違い!全面的にアスマさんの勘違いだからソレ!!!」
「面白くねぇなぁ…ったく。」

そんな物に面白さを求めるな!そんな暇なのか上忍て奴は。

「ところでお嬢、どうせ暇だろ?」
「ええ暇ですよ暇ですが何か?」
「晩飯行くぞ。」

行って来い!勝手に行って来いっつーかもうあれだ、『行ってよし!』だ。

明らかにアタシの事からかってんだろうアスマさんは、ニヤニヤ笑いを止めないまま、

「仕事済んだら迎えに行く。」
「ちょ!アタシの意見は聞かないのかよ!」
「無視だ無視!」
「をぉぃ!」

綺麗さっぱりアタシの主義主張を受け流して勝手にアタシの晩飯を決め込むつもりらしい。

「心配しなくてもオレの奢りだ。」
「よろしくおねがいしまぁ〜すぅ。」

と、いう訳で、アタシの晩飯は一昨日の残りのカレーからタダ飯へと華麗なる転身を遂げる事となった。

がっ!















「こいつが例の…だ。」
「へぇ〜…この娘がねぇ…。」
「ふぅん…。」
「えへ、えへへへ…。」

迎えに来たアスマさんに連行され、突入した居酒屋?には既に待機中の謎の女達がいた。
アスマさんはアタシを彼女達の間へワザワザ座らせ、勝手に紹介?してくれんだが。

例って何!?たとえ、じゃなくてれい、って何なの!!!

っつぅ簡単にも程がある紹介を、顎でクイッとアタシを指し示す事で完了させた。
何つーか手際良過ぎんだろそれ。
それ以前に、他にも居るなら先に言っとけよオッサン!

「名前は?」

そして、アタシの右側に座る綺麗なオネーサン(年齢不詳気味だが多分アタシの実年齢よりは若い)は
興味津々といった視線でアタシを見つめ(舐め回すように?)

「あ、デス。自称18歳の乙女、当然処女ですが何か?」
「ぷっ…」

アタシの左側に座るダイナマイトボディの綺麗なオネーサン(当然年齢不詳気味だが多分アタシの実年齢よりは若い)は、
アタシの自己紹介に受けたのだろう、そりゃもう可愛い仕草で噴出しウフフと笑う。

「右側にいるのが特別上忍のみたらしアンコで左側にいるのがオレ達と同じ上忍の夕日紅だ。」
「なるほど、お二人ともアスマさんのアレなんですね…。」
「アレって何よ。」
「気になるわね、アレって言われると。」
「そこは各自適当に好きな言葉を当てはめてもらえば良いかと。」
「適当すぎんだろ、それじゃ…。」
「適当のどこが悪い!適当って言葉程神秘的且つ素敵な言葉はないだろぅが!」
「お嬢、お前もう酔ってんのか?」
「すいませーん、このオッサンの奢りなんでとりあえず焼酎くださいー!」
「お前自称18って言ってたんじゃねーのか!」
「自称…ああ何て都合イイ言葉だ。ふははは!」
「こういう奴だ、このお嬢は…。」
「「…………………。」」

掴みはOK?
ドン引き手前の美女二人の可哀想な子を見るような視線はスルーし、
アタシは久しぶりのタダ酒をハイペースを通り越してガブ飲みする事にした。

そんな中で、ワイワイガヤガヤやりつつの飲み会の場は徐々に和み、
アタシと美女二人の関係は微妙に変化していく。

「大体さ?この里の野郎共は弱すぎんだよ!」
「そうね、少し頼りない所があるわ。」
「そんなもんっすかね?アタシには良く判りませんよ。」

一応外見だけは年下だから敬語を使いつつ、
徐々に打ち解けてきた二人のネーチャンの訳判らん愚痴をふむふむ聞き、

「お前等が男勝り過ぎんだよ、それだから…」
「何よ!何が言いたいのっ!」
「まぁまぁ、アンコさん綺麗じゃないですかー。」
「え?そう?そんな事ないと思うんだけど…そうかな、やっぱりそう思う?」
「うんうん、綺麗ですよー?」
「お嬢、お前酔っ払いのあしらい方上手すぎんだろ…。」
「アスマさんは随分さんの事気に入ってるみたいだけど…」
「あ、紅さんアタシの事はって呼び捨てしてもらっていいっすよ?」
「そう?でも…ちゃん、って呼び方の方が可愛くない?」
「お好きにどうぞー!」
「お前、男以上に女のあしらい上手くねぇか?」
「オッサンが不甲斐ないだけだろ…。」
「容赦ねぇな…。」

加わってきたオッサン(呼ばわり)の愚痴も共に聞きつつ
ノンストップでおかわりのアルコールを摂取する事約5時間。

「らからぁ…そうおもうれそ〜?きいれる〜?」
「聞いてますよー、アンコさん!それ箸だから!から揚げじゃないし!」
「アハハハハ、アンコったらおちゃめさんなんだからっ!」
「紅さーん…それ、アンコさんじゃなくて知らないオジサンだから!」
「全く…忍のクセに酒に飲まれてどうすんだお前ら…。」
「アスマさん、アンタも十分飲まれてるし!つかいい加減その椅子抱くの止めろっつーの!」

飲み会場はある種修羅場と化していた。
アタシから一言言わせてもらうとするなら、お前等飲んだら飲まれてんじゃねぇよ!!
だったりする。
前後不覚に陥ってるオッサンは、ちゃんと支払いしてくれんだろうか。
それにっ!
完全に飲まれきったアンコさんも紅さんも、知らないオッサンに着いて帰ったりしないんだろうか?

「まぁ、大人だしな…。」

まして上忍とか特別上忍なんだし?
どうにでもすんだろ、と解釈しておいて

「すいませーん、おかわりくださーい!」

アタシは、アタシの肝臓が求めるままにアルコールを摂取し続けたのであった…。



翌日。



「いい加減、昼間時間に来てくれてもいーじゃ…ってあら?」
「「「軽めの物を……。」」」

まかない時間突入後、やっぱりやってきたアスマさんは一人じゃなくてアンコさんと紅さんをを伴って来た。
来た…はいいんだけど、何つーか3人ともヨレヨレじゃね?

「何か…あったの?」
「何も……。」
「普通よ……?」
「お前は……」
「何か三人ともみたいなんだけど。」
「「「(化け物かコイツ…。)」」」

いい大人が二日酔いでヨレヨレとか恥ずかしくねーのか?
ったく、仕方ねぇなぁ。

「はい、コレ。二日酔いによーく効くからグイっと。」
「コレ…っぷ」
「この匂い…っ。」
「どう見てもこれは…」
「迎え酒?」
「「「勘弁して(くれ)!!」」」
「弱すぎじゃね?」
「お前が強すぎんだっ!バケモンか…。」
「なっ…」

ば、ばけもん呼ばわり!?

「アスマさん、人をそういう風に言うんじゃぁありません。」
「っ…そうよ…いくら…アレでも…」
「おっ…んなのこに…ばけ…なんて…」
「ですよね?大体そういう時はせめてこう言わなきゃ。」
「どう言えって?」
「れ…」
「れ…?」
「連邦のモビルスーツは化け物かーーーっ!と。」
「「「(意味判んねぇし!)」」」
「ま、また誘って下さい。暫くはナルトいないから夜暇だし〜…。」

そう最後に一人ごちたアタシに、当然返ってくる返事は無かった……。





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2008.11.28