本.28 初めて、と表現するにはちょっと違うかもしれない。 けれど、そう表現するのが一番しっくりする気がするのは やっぱりアタシは地に足が着いてなかったんだろうか? 三代目のジーサンの厚意っつーかお節介っつーか、 要するにそういう要素を含めた大人の事情から(?) アタシはこの世界で間違いなく自分の居場所である!と言える場所を手に入れた。 ”まんぷく食堂”よりやや小振りではあるが、そこは間違いなくアタシの物でアタシの城で、 ナルトと暮らすあの家がアタシの居場所である事を否定するつもりはさらさら無いけれど、 どっかで居候じゃね?な思いがあったアタシにとって、 やっぱりその店がアタシの居場所…と呼ぶに相応しい場所となった。 けれど、アタシが自分の居場所を手に入れたあの日から、事態は激変した。 起こってしまった惨事によって激変した環境、そこから立ち直ろうとする周りの流れ。 それに乗って、アタシもあの日から慌しく動いた。 だからなのかもしれない。 時間の流れに対する感覚がマヒしちまったのか? 後悔だとか感傷だとか、そういった類の感情に浸る暇もなく気付けばあっという間に時間は流れた。 あの日から一年以上が過ぎ、アタシは今、ナルトと一緒に暮らしていたあの部屋を出て店の二階で暮らしてる。 それが一番いい選択だと思って、アタシはあの部屋を出た。 理由は一つ。 三代目のジーサンが死んで、里も皆もボロボロになって、 その上サスケも里から消えてその後を追うようにナルトも修行の旅へ出る… って決まってる流れをジーサンが死んで思い出したから、それを選んだ。 「ただいま…。」 「あ、おかえり〜…ってアンタまたケガしてんじゃね?」 「そんな事はな…」 「ほほぅ…。」 「っあ…いや、その…。」 「まぁ?擦り傷程度だろうから構わねーけどさ。あんま無茶すんじゃねーよ?」 「判ってる…。」 「じゃ、銭湯行っといで!あと帰りにネギ買ってきてよサスケ」 そう、アタシは今、ナルトと暮らしていた部屋を出てサスケと同棲している。 っつーかまぁアレだ、同棲じゃなくて同居な訳だが。 あれ?サスケは里を抜けてオカマヘビんとこ行ったんじゃねぇの? ナルトからサスケに乗り換えたの!? むしろカカシさんはどうなったの!?って?? アタシは、ジーサンが死んだ事で漸く目が覚めた。 アタシの知ってる(覚えてる?)話がクソの役にも立たないって事、 紙面で見て読んだ漫画の世界と今こうしてアタシが暮らすこの里は、別物だとアタシは気付いた。 確かにここは三次元かもしれない。 でも、少なくともアタシにとって、死んだジーサンは暖かかったし親切で優しくて、 アタシの親代わりだとまで言ってくれる人で、間違いなく生きていた。 そして、アタシは間違いなく今ここで生きている。 だったらこの先がどうなろうと、ぶっちゃけアタシの知ったこっちゃない。 だからアタシは生きてここに居る以上、アタシはアタシのやりたいように生きる!という道を選択した。 つまり!ジーサンが死んだ事、死ぬって事を死んでから思い出した事を少なからずともアタシは悔いた訳だ。 アタシ一人があがいた所で変えられるもんじゃないのは十分判ってたけど、 中途半端にある知識っつーか記憶は邪魔以外の何物でもないって感じるようになって。 大体、アタシは好きでここに来た訳じゃねーが、帰る手立てもなきゃ帰る方法も判らない、 帰れないかもしれないし、まぁ別に帰らなくても問題はねーし… って開き直った結果+反省の結果=本能の赴くままに生きる事を決意した。 だからアタシはジーサンが死んだ後、何をやったかっつーと、そこは察して欲しい。 結果を見ればおのずと判るとは思うが、簡単に説明するとしたら 今こうして里にサスケが残ってるって状況を作ったっつーか、 そういう状況に持ってったっつーか、そうせざるを得ない状況に追い込んだっつーか。 誰も止める事が出来なかったサスケを引き止める事に成功した方法は、一応企業秘密って事で、 まぁ現代人の知恵を駆使してそれを成した、とでも言っておこう。(何様だー) ともかく、サスケがこの里に残る事を選んでくれた事からアタシも生活を変える決意をした。 目を離せない状況っつーか、やっぱりガキ一人暮らすって状況がどうにも受け入れがたく、 じゃいっそ皆で暮らせばいーじゃん!と、サスケとナルトを巻き込んで、 二人が暮らす部屋を勝手に解約して店の二回の居住スペースで共同生活する事を押し付けた。 最初は文句ばっかだった二人も、毎日否応なしに顔突合せりゃ慣れるもんで、 サスケはカカシに、ナルトは自来也のおっちゃんに修行をつけてもらうようになり、 ナルトだけが自来也のおっちゃんに連れられ修行の旅へと出た。 まぁそこは、止める必要もなかったし必要な事なんだろうと割り切って、 今はサスケとの同棲生活を満喫している。 がっ! 「ちょっとちゃん、オレの事は知らんぷりな訳!?」 「あ…?」 「それ酷いだろ…おかえり?って言ってくんない訳!?」 「おかえりー…(超棒読み)」 サスケに修行をつけてるって事にかこつけて、頻繁に出入りするようになった挙句、 勝手に荷物まで持ち込んで三日に一度は寝泊りも始めたカカシの野郎はやっぱりアタシの天敵なのかもしれない。 そんな、先の全く判らない生活ってのは普通な訳で? この先どうなるかは想像も付かなけりゃ想像する必要も無いし? 暫くっつーか当分っつーかこの先も、相変わらず流れに身を任せて生きていこうと思う。 -------------------- 2009.01.15 ← □ →