本.46


何であんなことやっちまったんだ!?と、後悔してももう遅い。遅いんだけどものっそ後悔して

───── うおぉぉぉぉっ…。

ベットの上、うつ伏せんなって枕に顔埋めて頭まで布団被って思わず吼えた。ついさっきのやりとりを思い出して。

───── ああああああ穴があったら入りたい入ってそのまま暫く冬眠したいぃぃぃぃ…。

アタシが目を覚まさなかった間、多分もしかしたらナルトやサスケの面倒を見てくれたかもしれないし?
心配掛けたのはこれまた当たり前だったから、やっぱりキチンとお礼くらいは言わなきゃなんないだろうし?
ってナルトもサスケも帰してカカシさんだけ残して話ししたは良かったが。
妙に静かな夕暮れの病室ってのがやけに雰囲気が良くてうっかりその雰囲気に流されて、
お礼だけ言って終わりの予定だった会話は全然違う方向に行ってしまった。

それもこれも全部シチュエーションの所為だ!って言いたいとこだけど予定とは違う内容で話ししたのはアタシだし
文句言える立場じゃねーけど…それでも!頭の中に 『もうちょっと素直になれば?』 って声が聞えた気がして、
つい本音をポロリしたら逆切れされて怒鳴られて、ムカッときたから勢いに任せてぶっちゃけたのは失敗だった。
のんびり一週間も旅行気分で寝てたのが災いしてアタシはすっかり忘れてた。
こんな事になる以前の帰る帰らないって騒ぎの時に、何の琴線に触れたのかは知りたくもないがカカシさんが
開き直って妙に積極的になってた事実を。

とはいえ、忘れてたのはアタシだけじゃないんだろうその証拠についさっきのここでのやりとりの後、
カカシさんは素直に帰って行った。
それを覚えてたらあの男があそこであっさり帰る訳が無い。
あそこで強気に出られちまったら流石のアタシだって逃げ切る自信はない一応病み上がりだし。

───── 首の皮一枚繋がってセーフ!?

最後の最後で慌てた相手に無意識に逆切れし返したアタシよくやった!
あれがなかったらマジでヤバかったかもしんない色んな意味で。(いやマジで)

アタシはまだ子供達と楽しくやりたいのだ。幸いここでのアタシは今だガラスの十代ここで高が数年過ごした程度で
色恋沙汰に突入するにはまだまだ早い早いったら早い。

『カカシ先生以上の優良物件があると思うの!?』

鼻息荒く力説したあの子にゃ悪いが今はそれを思い出さないようその言葉は厳重に紙に包んでそれを更に包装紙で包んで
箱に入れてそれをまた包装紙で包んで熨斗付けて、風呂敷に包んで天井裏に片付けておこう、そう決めた。



そんな風に避けて遠ざける程、人という生き物はそれを意識してしまう事にも気付かずに。










そして一週間後。アタシは自宅へ帰る事を許され可愛いあの子達の待つ我が家へ
実に一ヶ月と一週間振りに帰宅した ────────── のだが。

「ちゃんおかえり。」
「何でアンタが出迎えに出てくんの!?」
「今更デショ?」
「うっさい!ナルトは何処!?サスケはっ!?」
「ナルトは修行、帰ってくるのは明後日の予定でサスケは任務?」
「貴様の仕業か!?」
「さぁ?何の事だか…。」

何故か調子を取り戻したらしいカカシの怪しい上に憎ったらしい事この上ない爽やか笑顔に出迎えられたのだった。

「ちょっと!?ちゃんいきなりかよっ!!」

が、その後アタシがカカシの野郎を叩き出したのは言うまでもない。





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2010.02.16