本.48


(火の無い処に煙が立った翌日の昼下がり)



ランチタイムという名の戦場を駆け抜け、無事営業時間を終えたアタシ。
そろそろ開店中の看板を裏返して閉店にしてお昼でも食べて片付けて明日のメニューでも決めるか…と店先に出た時だ。

───── ん?

妙な視線を感じた。誰かが…っつぅか数人?に見られているようなそんな感じの視線を。
一瞬、気のせいか?とも思ったが、そういや昨日の夕方辺りから今みたいな視線を感じるっていうか
観察されてるような視線がある事を思い出して、勘違いじゃないかもしれない…と

───── どっからだ?

今感じる視線を発する発信源を探してみた。
辺りをキョロキョロ見渡して、それらしき人物を探してみる ────────── が人っこ一人歩いてねぇし。

「あれか?ゴキブリの視線も感じる奴は感じるらしいってやつ?」

ものっそ遠くに人影は見える。けど誰か判別できない程向こうを歩いてる人影だから絶対無関係だろうし?
やっぱ気のせいか…って思いなおして店の看板を裏返しにして”閉店”にして店内に戻った。

視線の主=ゴキブリのがマシだった!!!と気付くまでもう少し先…。















********** 店前道路北側の木上 **********

「サクラ見たっ!?」
「ばっちり!」
「えっ、と何があったの…?」
「ヒナタ見てなかったの!?」
「あ…うん。」
「あんな遠く歩いてたのにね、イルカ先生。」
「じっと…見つめてたよねイルカ先生を。」
「(お姉さん見えてなかっただけなんじゃ…。)」
「っていうかねぇサクラ!イルカ先生私達に気付いてなかった!?」
「絶対気付いてたと思う。私達に気付かれたくなくて引き返したっぽい!?」
「(イルカ先生全然気付いてなかったと思うけど…。」
「ってことはつまり…おねーさんの恋の相手は…。」
「イルカ先生が居た事に気付いて急いで出てきたのは…。」
「あんなに遠くにいたのに通じ合ってたよね!」
「いやだどうしよう私までドキドキしてきちゃったっ!」
「(二人共会話になってないよ…。)」
「取り合えず、相手はイルカ先生で間違いない!として。」
「問題はここから先…よね?」
「あっ、あのね?」
「どうかしたの?ヒナタ。」
「あのね?もう少し慎重に行動した方が……。」
「何言ってんのよ!どこからどう見たって両思いの二人がすれ違ってんのにっ!」
「そうよ!おねーさんもイルカ先生もどう思いを伝えていいか解らなくて遠くから見詰め合ってるっていうのに!」
「だ、だから本当にそれで合ってるのかな?って…。」
「ヒナタはイルカ先生は違うって言いたいの?」
「ヒナタはおねーさんが幸せになる事、反対なの?」
「(根本的に違う…って言ってももう聞き入れてくれないよね…。)」
「それにっ!おねーさんの相手に一番最初に辿り着くのは私達じゃなきゃダメなんだから!」
「そうよ!いい?ヒナタ。今おねーさんの相手を捜索してるのは私達だけじゃないんだから!」
「「絶対に負けるわけにはいかないのっ!」」
「(何でみんなを巻き込んじゃったんだろう…。)」
「大体さ?男のくせに私達に対抗しようってのが生意気なのよね。」
「っでもさ?いのはサスケ君とライバル状態にある今が気にならない訳!?」
「っそれは…嫌だけど。っだから早く見つけておねーさんに…。」
「ヒナタもナルトとライバル状態なんて早く終わらせたいよね?」
「っうん…っでもね?」
「っていうかさぁ、まさかシカマル達まで参戦してくるとは思わなかったよね。」
「だよねぇ。ネジがやる気になったのも以外だし?」
「それ言うならシノだってそうじゃない?」
「チョウジも何だかんだ文句言いながらも一緒に行動してるみたいだし。」
「だ か ら !」
「ぜ っ た い に !」
「「負けるわけにはいかないよねー!」」
「(わ、私が最初に止めておけば……お姉さんごめんなさい…。)」










********** 店前道路南側の木上 **********

「見たか?サスケ。」
「ああ…あそこに居たのは不知火ゲンマだ。」
「なぁサスケ…。」
「何だ?」
「こういう場合カカシ先生の立場ってどうなるんだろ…。」
「オレ達が口出しする問題じゃない。イイ大人なんだから自分でどうにかするだろ…。」
「でもっ、でもさ?」
「今度は何だっ!」
「もしカカシ先生がこの事知ったらオレ達に被害来るんじゃねぇのか?」
「 …………………………。」
「 …………………………。」
「 …………………………なぁ。」
「 …………………………何だ。」
「実はオレ明後日から修行に出るんだってばよ…。」
「 …………………………寝言は寝てから言え。」
「 …………………………っゴメン…。」










********** 店前道路東側の木上 **********

「見えたか?ネジ。」
「確かにお互いを確認してたようだ。シノ、お前はどう見る?」
「多分当りだろう。」
「ああ、当りだ。」
「相手は三忍が一人、自来也。」
「(………………当りなのか?)」
「(………………外れじゃないのか?)」
「(………………無い、とは言い切れないが。)」
「(………………意外な人物程怪しいが。)」










********** 店前道路西側の木上 **********

「なぁシカマル。」
「どうしたよ。」
「何でオレ達こんなとこで見張りしてるんだろな。」
「さぁな。成り行きだろ?」
「そうなのか!?」
「オレが知るかよ。」
「だよなぁ…。」
「っておいあれ…。」
「カカシ先生……………………………んトコのパックン!?」
「おいおい相手は犬かよっ!?」
「なぁシカマル。いくらなんでもそれは無いと思うんだ。」
「……………………だな。」
「勘違いじゃねぇの?サクラやいのの。」
「かもな。ヒナタが何か言いたそうだったしな…。」
「でも勘違いじゃなくて本当だったら…。」
「オレ達以外にも探ってる奴がいるかもしんねぇな。裏手の方から殺気感じるし。」










********** 店裏側道路の木上 **********

「面白い事になってんじゃねぇか。なぁ?」
「五月蝿いからちょっと黙ってろ。」
「随分苛ついてんなぁ…。」
「だから五月蝿い。」
「ガキ共は相当浮き足立ってるみたいだけどな、お前程じゃねぇな。」
「何お前喧嘩売ってんのかだったら買うけどどうする下降りるそれともこのままここで殺り合うかどうするほら。」
「……………区切って話せ。」
「何お前喧嘩売ってんのか?だったら買うけど。どうする?下降りる?それともこのままここで殺り合うか?どうするほら。」
「仮にも大人だろうお前。どうしようもねぇな…。」
「アスマ、いい事教えてやろうか?」
「面白い話ならな。」
「一応お前も候補に挙がってるらしい。」
「冗談は顔だけにしろよカカシ。」
「冗談じゃなくなったらお前こそ覚悟しろよ。





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2010.02.26