本.50 意味不明の会合のお陰で客足ゼロは免れ、一応盛況という形で営業を終える事が出来たんだが。 「何かおかしいんだよなぁ……。」 誰も彼もがどうにもおかしかった。 こっちを見てたかと思えば慌てて目を逸らし、アタシが客席に背を向けていれば刺さる程の視線を寄越してくる。 一体アタシの何処が気に入らないんだ!? それとも実は本当はカツに使った豚肉が前日の残りだとバレたのか!?は、ともかくとして。 おかしいのはアタシも同様だ。 人のおかしいを構ってる状況じゃない以上、ほっぽっとけばいいか…と明日の仕込みと後片付けを済ませて二階の自宅に戻る。 食堂で飯の支度して片付けて自宅戻ってまた夕飯のオカズを準備する何時もと変わらない普段通りの夕方。 野菜を煮込んでる合間に掃除を済ませて洗濯物取り込んで風呂の掃除して風呂も溜めて。 炊飯器からそろそろ炊き上がる香りが漂ってきた頃、 「ただいま〜!」 「ただいま…。」 「今日はオレもただいま。」 可愛いあの子達+@が普段通り帰ってきた。 濡れ手をエプロンで拭きつつ可愛い二人を出迎えようと普段なら絶対しないのに今日に限ってなんでやったんだろう ドア開けて”おかえりなさいっ!”ってやろうと思ったっつぅかやった ────────── が。 「おかっ ────────── !!」 自分の状況をド忘れして、うっかりドア開けたのが運の尽き。 玄関代わりの扉の向こうにナルトとサスケと+@の姿は無く、当然の如く広がる景色は早め…にも程があんだろ!な 夕食真っ只中な某商店の茶の間(しかも勢ぞろいな上に全員と目が合った)。 しかも、今回は初となるドアのこっち(アタシ)と向こう(ナルトとサスケと+@)に人が居る状態でのそれだ。 ナルト達にアタシがどう映ってたかどうか?を考える暇もなく光の速さでドアを閉めた。 「ねーちゃん!?」 「…………?」 「ちゃん今の何っ!?何でオレの顔見て扉閉めるんだっ!?」 「そこは…仕方ないな。」 「サスケの言う通りだってばよ!カカシ先生、今日は来ない方がいいってオレ達言ったじゃないかっ!」 「それにしたって今のは無いだろ!?」 そして知った新たな事実。 どうやらドアのこっちに影響があってもあっちには何ら変化はないらしい。 「成る程それでこの苦情か…。」 「何納得してるのか知らないけど取り合えず扉開けてくれないかなちゃん…。」 「ダメだ早急にどうにかしないと絶対ダメだ。」 今ので忘れてたけど今日引き出しの中まで茶の間だったんだ。 この分だと風呂の蓋開けた先まで茶の間が在り兼ねん。 「ねーちゃん?何がダメなんだ!?」 「このままじゃ絶対ダメなんだ。こんな状況に慣れちゃダメだアタシ。」 今までみたいに面倒臭がって状況に慣れる事を選んだら一生後悔する! うん明日にでも本気出してどうにかししようそうしよう。 「ちゃん、こんな状況ってどういう意味!?」 「済し崩し・どさくさに紛れての同居…じゃないか?」 「サスケの言う通りだってばよ!ねーちゃんは今が一番大切な時期なんだってばよ!」 「お前等そんなにオレが嫌いか!?」 「「別にそういう意味じゃ……。」」 「ちゃん!取り合えず落ち着いて話し合おうだから扉開けて下さいお願いします。」 「あっ…ゴメン忘れてた。おかえり〜〜〜〜ナルトっサスケっ!」 「ただいまっ!」 「ただいま…………。」 「ちゃん…………オレは?」 「あ、居たんだ。おかえりーカカシさん。」 「うっ、うぅっ…ただいまっ……。」 っていうかつい考え込んで三人の話全然聞いてなかったから事情は解らんが何泣いてんだよカカシさんよぉ……。 そして。 出迎えのゴタゴタは挙動不審過ぎるカカシさんに免じてスルーする事にして。 「そういやさ?今日のお昼は何の集まりだった訳?」 「っぶ ────────── っ!」 「きったねぇよナルトっ!吹くならアッチ向け!」 「っゴメンねーちゃん…。」 「ったく何驚いてんだよ驚いたのはこっちだっつぅの。」 「驚いた……のか?」 「そりゃ普通驚くでしょーが。あの人数だし?」 「っそうか…。」 「サスケ?」 「っ何だ?」 「アンタ何時から納豆食べれるようになったの?」 「っぶ ────────── っ!」 「お前ら揃いも揃ってコッチに向けて吹くんじゃねぇっ!」 「っ済まないつい。」 「つい、じゃねぇよったく…。」 ついさっきの挙動不審過ぎたカカシさんの上を行く今の二人のお陰で食卓(主にアタシ)が凄い事になっちまった。 スルーするつもりだったがこれは問い詰めた方がいいのか? 「今日何かあった?」 「……………………。」 「聞いてる?」 「……………………。」 「カーカーシーさん?」 「……………………。」 問い詰めようにも誰も役立たずかよ…。 一応突っ込みはしたがアタシも問い詰められたらマズイ立場に直立不動中だ。 ───── ま、こういうのは放置に限るな。 この上カカシの野郎にまで噴出されたらたまったもんじゃねぇ。 アタシは一先ず目の前の飯にこれ以上噴射された固形物が入らないよう左手で自分の前をカバーしながら夕食を優先する事にした……。 -------------------- 2010.03.16 ← □ →