本.54 アタシを襲った子供達を含めた関係者を集めさせる為、チョウジを先に里に戻らせた。 多分…っていうか確実に?昨日の昼間店に来たのが関係者に違いない。 そうなると十数人になるんだけど 「綱手ねーさんまで踊らされてんのかよ…ったく。」 何で里の代表者までが訳判らん事に踊らされて参加してんだよ。 「ってあの二人もか。」 おまけに、上から下まで忍揃えやがって。 「割合でいくと…大人が6で子供が9だろ?」 綱手ねーさん辺りが首謀者かと思ってたけど人数の割合からするともしかするともしかする。 「首謀っつーか発端は多分…。」 あの子達の誰か?が発端で事が大きくなって綱手ねーさん含める大人が出張って来たってトコだろう。 まぁあのメンツだ最終的な首謀者は綱手ねーさんて事で構わねぇけど。 「止めるべき大人が何やってんだよ。」 いや、あの大人達はタチが悪いから止めるどころか面白がって参加したに違いない 特にアスマさんとかアスマさんとかアスマさん辺りは。 そうなると、アスマ&カカシ以外のオッサンとイルカ先生とゲンマさんは無関係。 「事情も判らず巻き込まれたアタシサイド?」 被害者確定しました!だな。 「絶っ対に白状させてやる…。」 アタシは自分に起きた理不尽な忍の攻撃?の理由を追求し、このうっとおしい出来事からさっさと逃れるべく行動を開始するのだが。 「これで全員か?」 「うん。」 チョウジの捕獲作戦は成功、お縄についた子供達が店の床に無造作に転がされていた。 「ただ…さ?」 「綱手ねーさんだろ?」 「流石にオレじゃ連れて来れねぇし。」 「アスマさんは?」 「呼んだか?」 呼んでねぇよ!や、呼んだか。 何時の間に現れたのかは知らんが、床に転がる子供達を尻目に椅子に座って暢気に茶を啜るアスマさんは既にスタンバイしていた。 「チョウジ!アンタ覚えてなさいよっ!」 「サクラちゃんの言う通りだってばよ!」 床に転がる子供達は一様にチョウジにブーイングを浴びせるが 「おだまりバカ共っ!」 「「「「「「「……………。」」」」」」」 一喝すれば瞬時に口を閉じた。 そして、何故アンタがフォローに入るんだ?なアスマさんがニヤニヤしながら 「まぁそう怒るなよ?元はといや、お前に原因があるんだからなぁ。」 起きたまま寝言を言い出した。 「おいおい寝言は寝てから言ってくれよアスマさんよぉ…。」 原因がアタシにあるだぁ!?何この状況でフザけてんだこのオッサンは。 「大体原因って何だよ原因って!こっちは理由も判んねぇのに追い掛け回されたんだからな!!」 「探究心だろ?」 「探究心だ!?何に探究心擽られて大人まで混ざってんだよ言ってみろ!」 「いいのか?」 「えっ?」 「本当にオレが探究心の理由を言ってもいいのか?」 おまけに! 聞いて後悔するのはお前だぞ?ってのがアスマさんの表情に浮かんでて。 「やっ…いっ…っと、とりあえず全員揃ってからにしようか!ねっ?」 仕方ない、アタシが折れてやろう…とその場を取り繕い 「まぁ縄だけは解いてやるから逃げんじゃねぇぞ?」 キッチンから出刃包丁を持ち出して、ザックザックと縄を切って子供達を解放してやる。 が、鉄拳制裁は忘れない。 開いてる左手に鍋のフタを持ち、それで一発くれてやりながらの解放 ────────── の真っ最中。 「シカマル達戻ってきたみたいだ!」 チョウジの一言で、アタシは右手に包丁左手に鍋のフタを持ったまま二人を笑顔で出迎えたのだった。 「さて、漸く皆さんお揃いになってくれちゃってホント嬉しいわぁ…。」 そして、全ての面子が店に勢ぞろいした。 約一名哀れな程に怯えてるが見なかった事にして、アタシは今日までの理不尽をやっと追及出来る! という事に対して一応満足していた。 「で、誰が説明してくれるのかなぁ?」 口調が柔らかいのもその所為だ。 決して怯えさせる目的じゃなかった筈なのにアスマさんとシカマルとチョウジ以外が明らかに怯え始めた。 「誰が説明すんのか聞いてんだろ?さっさと説明始めろよ指名されてぇのか。」 「おっ、おっ、おっ…。」 「ん?どうしたナルト?お腹でも痛いか?」 「オレが説明するってばよ!」 や、そこはアンタが立候補するんじゃなくて怯える子供に混じって怯えてる大人が説明するのが筋だろ。 「って事でカカシさん、説明お願い出来ますかぁ?」 「って事でって何!?」 「察しろよ。」 「絶対察せないから無理だからオレの方こそ察して欲しいんだけど!!!」 ちっ使えねぇなぁマジで。 大体さ?カカシさんてさ?こんなヘタレキャラだっけか?公式じゃそんな設定ないんだよな? 「、それ位にしてやれよ?じゃねぇと後から後悔すんのはお前だぞ。」 長い物には遠慮なく巻かれてやろう。 「じゃそういう事でアスマさん説明お願いしまーす。」 「仕方ねぇな。いいか?事の発端は………。 と、アスマさんの口からついに、発端とやらが語られる事となり ──────────────────── ってちょっと待て! 「事情はよーく判った。ようするに全部勘違いから始まったんだな?」 「勘違い…なの?私達が勘違いしちゃったの!?」 「嘘っ!?」 「だから最初に間違いじゃないか?って私言ったのに…。」 アスマさんの語る発端に、アタシは頭を抱えるハメになる。 要するに、アタシの挙動不審を勘違いしたサクラ達の発言が無駄に大人数巻き込んで拡大した挙句アタシに戻ってきたって事!? って事はアタシはヘタに誰も責めたり出来ねーって事じゃんか! 「まっ、まぁ誰しも勘違いはあるしな。」 「おねーさん…怒らないの?」 「もうさっき怒ったから…もういいよ。」 「ねーちゃんホントなのか!?もう怒らないのか!?」 「しつこいよ!怒らねぇって言ってんだろ?」 事を掘り下げられて困るのは寧ろアタシの方だ。 サクラ達やナルト達だけならまだいいが、面倒なのが二人ここに居るのを忘れちゃいけないいっそ忘れた方が幸せかも。 ともかく、奴等はこういう事にだけは無駄に敏感なのだ。 綱手ねーさんが居ないのは不幸中の幸い、綱手ねーさんが居たら容赦なくアタシを責めて…くる! 「話は聞かせてもらったよ。」 きっと来る!って脳内であの歌を再生したのがマズかったのかいきなり音もなく綱手ねーさん登場。 「貞子め…。」 「何訳の判らない事言ってるんだい。」 「って綱手ねーさん何でここにっ!」 「上でずっと聞いてたのさ。」 「じゃ延々上で聞いててくださいよっ!今頃登場とか!!」 「おや?アタシが今頃登場しちゃマズイ事でもあるのかい?」 あるから言ってんだよ。 「それよりも、カカシもアスマも当然気付いたんだろう?」 そこの二人!頷くんじゃねぇよ! 「どういう事だってばよ?」 「さっ、さぁ?ともかくもう済んだ事だし?アンタ達は帰ってい…。」 「、何慌ててんだい?」 「…………。」 「オカシイよなぁ?普段なら容赦なく制裁するお前がやけに大人しい。」 「あからさまに挙動不審になった…けど何か疚しい事でもあるんじゃないのか?ちゃん。」 こういう時だけ結託してんじゃねぇよ凸凹コンビがっ! 「、白状するんだね。」 「や、白状も何も…。」 「どういう事だってばよ?何言ってんだよ綱手ばーちゃんもねーちゃんも!」 「判らないのかい?は勘違いの元になった挙動不審に心当たりがあるんだよ。」 「おねーさんそうなの!?」 「おまけに、その心当たりをオレ達に知られたくないらしい。だろ?。」 「いやいや、だからそれこそ勘違いで!」 「ねーさん…もう諦めた方がいいぜ?」 「シカマルあんたどっちの味方よっ!」 「ちゃん、シカマルに当たっちゃマズイんじゃないか?余計怪しいんだけど。」 これが俗に言う君子危うきに近寄らずか!? いやいや落ち着けアタシ!全然違うそれじゃない絶対絶命だろそうだろアタシっ! 「っその…アタシ…。」 12×2=24の瞳がアタシを見つめる中、白状する事を余儀なくされたアタシ。 病院から出た後から起きてる摩訶不思議現象に悩まされててその摩訶不思議現象が所構わずなもんだからどうにも困って それをどうにか出来そうな喜助ちゃんて人に連絡しようかどうか悩んだりしてる余裕もないからともかくどうにかしよう って連絡するつもりで… って説明しようにもその喜助ちゃんは誰だ?って説明からしなくちゃなんないだろうし? そうなると喜助ちゃんに出会う原因から説明しなくちゃなんなくて? そもそもそんな面倒な説明すんのがヤだからアタシは今日山登りまでしたんだからもういいじゃん面倒なんだもん! って余裕ぶっこいてる状況でも無くなってきたから止むに止まれず腹を括って説明しようと 「アタシ…きすっ!?」 喜助って奴に…って言おうとして、ポケットに入れてた携帯がブルブル震えだしたから驚いておかしなトコで発言を中断しちまった。 「きす?」 「きすって…???」 「帰す?」 「期す?」 「記す?」 「規す?」 「キス…?」 「「「「「「「「「「「「「キスぅぅぅっ!?」」」」」」」」」」」」」 ああこれまたややこしい事になるな…。 -------------------- 2010.05.05 ← □ →