02.見えてきたものは…苛付かせる何か。
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俺の名前は電子レンジ、店舗内では一応売れ行きNo1商品だ。
そんな俺はある日、同メーカーであり同時入荷商品である食器乾燥機と展示会に行き、
招待客と怪しい搬入業者の取引現場を目撃するんだが、それに夢中になりすぎた所為で
後ろから近付いて来た搬入業者の一人に気付かず、梱包された挙句販売されそうになる。
けれど配送の手違いが幸いし、どうにか販売されずに済んだものの…
気付けば俺の姿は小型化していた。
その後、どうやって店舗まで戻ったかは覚えていない。
けどその衝撃的事実に慌て、急いでマネージャーの元に向かったんだが展示会で別れた
ままになっていた食器乾燥機がマネージャーの元を訪ねてきて俺達は鉢合わせになる。
「マネージャー、この子は?」
「っああ、っその彼はじゃな?ええっと…。」
「あれ?この子…誰かに似てるような…?」
「あっ、あのっボク…。」
俺は近くに落ちていた説明書が目に入り、とっさに誤魔化した。
落ちていたステッカーもついでに貼り付けて。
「ボク、っトースターっていうんだ。初めましてお姉ちゃん!」
「トースター?ふぅん…。」
「あは…あははははは。」
俺はこの日から、電子レンジの兄弟商品であるトースターと名乗り、食器乾燥機の並ぶ
新商品陳列棚に共に並びながら、小型化した俺を購入してくれる人を待つ事に………。
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「オイオイ何だよこれ…。」
俺はそれを読んで、何故かイラッとしたのだった。
(イラッとしたのは本能から。)
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2010.05.11
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