03.見えてきた真実…は想像を超えた。 「で?これのどこが俺に関係してんだよ。大体何だよコレ。」 「コレ?」 「電子レンジとか食器乾燥機とか単に家電好きの変わりモンじゃねぇのか?」 「違うわよ。これは擬人化萌えっていうの。」 「…………………………は?」 灰原、お前今何っつった? 「萌え…はいらないわね。 擬 人 化 っていうのよ、多分。」 「多分って何だよ多分って。」 と、灰原は『擬人化』の説明をし始めた。 どうやら最近ナントカ女子っつぅ輩の間で流行ってるジャンル?らしいそれは無機質を人に例えて色んな事を考える事らしく 「私の知る最近の擬人化で『衛星の擬人化』があったわ。美少女なんですって。」 「っそりゃ…まぁ…あはははは…。」 もはやどこをどう突っ込んでいいのか判らない。 けど、無機質を人に例えるのが擬人化(萌え)っつうならおかしくねぇか? 「なぁ、これって擬人化じゃねぇんじゃねぇのか?」 「そうね。擬人化っていうより逆擬人化かしら?」 「どういう意味だ?」 「今のがヒントよ。」 「ヒント?」 「そう、ヒント。ねぇ工藤君、あなたこれを読んで正直どう思った?」 「正直…か、正直に言うとイラッとしたけど。」 「そこに答えがある筈よ。」 俺の苛付きと逆擬人化とどう関係するんだろうか。 「頑張って答えを見つけてね。その答えの先に…全てがある筈だから。こういうの得意でしょ?」 「そりゃ得意だけど必要性は何処だ?」 「だから、全ては答えの先に存在するって言ってるでしょ?」 「わーったよ、やりゃいいんだろやりゃあ。」 「それじゃ、頑張ってね。」 どうやら俺はこの謎を解くまで帰してもらえないらしい。 仕方なく、もう一度読み直しながら灰原の言葉を繰り返し呟いてみる。 「何故俺が苛付いたか?か…。」 一見すると、ここに俺が苛付く要素は無いかもしれない。 けど確かに俺はこれを読んでイラッとしたのは事実だ。 じゃあ何故何処に苛付いたか?をともかく紙に箇条書きしてみた。 擬人化 ───── 萌え・物を人に 逆 さ ───── 反対 物・人 ───── 無機質 擬人化の逆はつまり、人を物に例えてるって事で、つまり電子レンジも食器乾燥機もトースターも人って事になる。 俺は家電部分を適当な名前を当てはめてもう一度読み返して ────────── 息を呑んだ。 「マジかよ冗談じゃねぇぞ!?」 「どうしたの急に。」 「お前の言った意味が判った…。」 「正解があったのね…そこに。」 「ああ…全部俺の事だ。」 「やっぱり…。」 電子レンジは工藤新一、食器乾燥機は毛利蘭、搬入業者が黒の組織でマネージャーが阿笠博士で ────────── そして。 「小型化したトースターってのが江戸川コナン…って事か。」 「ええ、ちなみに私はサイクロン掃除機だったわ…。」 「ぶはっ!」 「そして西の高校生探偵さんが空気清浄機、その幼馴染の彼女がハロゲンヒーター。そして…。」 「っそして…?」 「神出鬼没の大怪盗さんがUMPCだったわ。」 「オイオイ随分優遇されてんじゃねぇかキッドの野郎だけ…。」 登場人物である俺や俺の周りの人物を事細かに家電化させてるらしい。 「けどよ、これって創作じゃなくて実話じゃねぇか!」 「問題はそこなの?」 「知りすぎてやがる…。」 「トースターが巻き込まれる出来事は上手くアレンジしてるけど間違いなく…。」 「俺が解決してきた事件か?」 「ええ。」 「一体誰が何の目的で…。」 「単なる趣味だとは思うけど?」 「こんなもん趣味で済まされる訳ねぇだろ!」 「書いてるのは関係者?それとも…。」 「黒の組織…って可能性も捨てられねぇな。」 「おまけに、気付いた?管理人のHN(ハンドルネーム)は…榎本 梓。」 「どっかで聞い…ってポアロのウェイトレス!?」 「詳しすぎると思わない?」 「まさか本人なんて事ねぇだろうな…。」 「それはありえないわ、彼女パソコンは苦手らしいから。」 「一体何者なんだ…。」 「もう一つ、HNとは別にコードネームもあるって書いてるのよこの管理人。」 「まさか…。」 「ええ、黒の組織のコードネームのように酒やカクテル名から取ってるみたいね。」 「どんなコードネームなんだ?」 「コードネームは…………マッコリ。」 「コイツ俺に喧嘩売ってんじゃねぇのか!?」 「少し落ち着いて!それより…聞きたい事があるの。」 「何だよ…。」 散々俺を驚かせるような事を言ってのけた灰原はこれまで以上に真面目な表情を浮かべると 「彼女とは上手くいってるの?」 「今それとこれとどう関係してんだよっ!」 「…………………………別に。」 オイオイ別に…って顔じゃねぇだろどう見たって思いっきり訝しんでるじゃねぇか! 「なぁ灰原。」 「何?」 「もう一つ気になってる事があんだけどよ?」 人の顔を訝しんだまま見てる灰原は放置するとして。 俺はこのホームページの中にもう一つ気になる物を見つけていた。 「この裏って何だ?」 「……………………………知りたいの?」 「気になんじゃねぇか。この内容で”裏”だろ?もっと重要な事が書いてあんじゃねぇのか?」 「本っ当に知りたいの?」 「っああ…。」 「本当に本っ当にほんっとぉぉぉに後悔しないのね?」 「やっぱやめとくっ!お前がそんなに念押しするって事は相当アレなんだろっ!」 「裏アド請求制だからまだメールしてないのよね…。」 「何か言ったか?」 「いえ…それより、2〜3日時間をくれない?」 「いやだから別にもう裏とかどーでもいいし。」 「3日後に連絡するからそれまでに覚悟を決めておいてね。」 そう言った灰原は今日一番の笑顔で微笑んだのだった ────────────────────────────── 。 (そして今だ登場しない主人公のHN:榎本 梓/コードネーム:マッコリ、自他共に認める腐女子。) -------------------- 2010.05.06 ← □ →