04.新たな真実…は意味不明。



「で、覚悟は決まった?」

3日後の放課後、灰原はあの日と同様の笑顔で俺にそう聞いてきた。
正直”お前のその笑顔が俺の決心を鈍らせるんだよ!”って言ってやりたい気分だったが

「一応………な。」
「そう、なら大丈夫ね。」
「大丈夫…って何だよ。」
「覚悟を決めたんでしょ?だから大丈夫ね…って言ってるのよ。」

大丈夫だ覚悟だと何度も連呼されればされる程、一応固めた覚悟が崩れそうになる。
それほどの威力があるのだ ────────── 何かを含んでいるような灰原の笑顔は。

「お前は確認したのか?」
「当然でしょ。」
「どっ、どうだったんだ?」
「そんな事…私の口から言える訳ないじゃない。」

オマケに、言える訳がない…とまで言われたらこのままコイツに付いて行くのが嫌になってくる。

「はぁ〜っ、仕方ないわね。」

そんな俺の動揺を察したのか灰原は歩みを止め、大きく大げさに溜め息をつくとおもむろに携帯を取り出し

「…………はい、これでいいわ。」

どうやら俺にメールをしたようだった。
これはつまり、灰原と一緒に阿笠博士んトコで見るんじゃなくて自分一人で確認しろって事でいいんだよな?

「一応注意しておくけれど…。」
「注意?」
「閲覧した後は必ず履歴を消去しておく事ね。」
「そんなヤバイのかよっ!」
「………ある意味ね。」
「どういう意味だよっ!」
「ともかく、気を付けるに越した事はない…という事よ。」
「わーったよ。」
「それじゃ、また明日ね。」
「ああ…。」
「明日必ず感想聞かせてね。」
「わーったよ。」

とりあえず灰原から解放され、俺は携帯に転送されてきたメールを確認し ────────── 唖然とする。



FW:鈴木園子様
この度は裏URL請求メール
有難う御座います。
当サイトの裏URLは
下記の通りですので
注意事項に目を通した上で
閲覧お願い致します。
http://www.maccori-azusa.com
※追伸
丁寧な感想、本当に
有難うございました(・ω・)v
「あ、あはははは…。」 灰原の奴、鈴木園子って何考えてんなHNにしたんだ。 そして深夜、おっちゃんも蘭も寝てる事を確認した俺は事務所へ潜り込み、 PC前に座り電源をONにしてネットに繋いでアドレスを入力する。 カタカタカタカタ キーボードを叩く音だけが静かな部屋に響き ────────── そして。 「………よし、いくか。」 勢い良くエンターキーを押した瞬間検索サイトだった画面は一瞬で姿を変える。 3日前に見たあのインデックスページとさほど変わらない、真っ白な背景に文字だけのサイト。 「この先に一体何があるっていうんだ…。」 俺は【入り口】と書かれた文字をクリックし、現れた画面にしばし呆然とする。 「…………どういう意味だコレ?」 真っ白な背景に浮かぶ文字は至極簡単なもの。 ・空気清浄機×小型トースター ・UMPC×小型トースター ・????×小型トースター けれど俺はその文字(言葉?)が何を意味するのかさっぱり判らなかった。 その文字がリンクとなり、その先にさらに何かが存在するのだけは判ってたけど。 「灰原が言ってたのはこの先にあるって事だよな…?」 意味の判らない文字を眺めていても理解する事は出来ない。 知る為には行動するしかない…と腹を括り、俺は一先ず一番上の文字をクリックしてみることにした。 現れたのはタイトルらしき文。 俺はさっきと同じように取り合えず一番上の文字をクリックし、画面に現れた文章に ────────── 

俺は薄暗い部屋の中で目を覚ました。
今日は確か棚卸で、今日までにチェックを終えた俺は昨日の内に近くの
貸倉庫に移され棚卸が終わるまでここに待機…の筈。けど何かおかしい。
チェック済みの仲間は他にも居た筈なのに何で此処には俺しかいないんだろうか?

「おはようさん、目ぇ覚めたか?」
「目ぇ…ってその声は空気清浄機か!?ってか何でお前が此処に居るんだよ。」

空気清浄機はチェック済みだっただろうか?
それ以前に俺と空気清浄機以外此処に居ない事の方が気に掛かる。
俗に言う、嫌な予感がしてならない…。

「どないしたんや?」

何時もと変わらない口調の空気清浄機の放つ空気が明らかにおかしいのは何故だ?

「っなぁ、他の皆は?」
「誰も居らん。ここに居るのは俺とお前だけや。」

空気清浄機は何故こんなに落ち着いているように見せて怒ってるんだろうか?

「知りたいか?どういう事か。」

勿論知りたい。けど、俺は息を呑むので精一杯で返事一つ返す事も出来ない。

「鈍いお前でも薄々気付いてるんやろ?俺が怒ってる事。」
「なぁ、明かり点けてもいいか?」
「アカンに決まってるやろ?」

真っ暗な中、ジリジリと俺に近付いてくる空気清浄機の気配が怖い。

「他の奴等は隣の貸倉庫ん中や。俺がそうなるよう仕向けたんやけどな…。」
「何でんな事を!?」
「俺が何も知らんと思たか?俺が何も気付かんと…?」
「何言って…。」
「とぼけるつもりか?甘いなぁまだまだや。」

と、空気清浄機はいきなり貸倉庫の中で傷付かないよう丁寧に梱包されてた俺の
クッション材をビリビリと破り剥ぎ取っていく。

「何すんだよっ!お前何怒って…。」
「この間、UMPCと二人っきりで何しとったんや?」

この間…ってまさか!?

「俺が気付かんとでも思ってたんか?必死で声かみ殺しとったみたいやけど…。」
「誤解だっ!」
「あんな奴に横から掻っ攫われるとは思わんかったで…。」

何とか誤解を解きたかった。
けど完全に我を忘れてる空気清浄機は俺の言葉を聞いてくれようとしない。
引っ張り出したコンセントを無理やり差し、破れたクッション材の隙間から俺の
タイマーを無理やり回し、俺の言葉を封じ込めてしまう。

「熱っ…ぃ…っ空焚きは…ぁっ…!」
「流石は新型、感度はバツグンやなぁ。」
「もっ…っぁ……!」

”チーン”

無理やりタイマーを回され、中に何も入れないままに熱する事を強要された俺は
あっけなく………………。

「これで終わりやない、お楽しみはここからやで?なぁ小型トースター…。」

俺を見下ろす空気清浄機が吐き捨てた台詞。
怒りを孕んだ…嫉妬に狂った空気清浄機の執拗なまでの行為は、棚卸が終わり
アルバイト店員が引き上げに来るまで続いたのだった。
───── 全部誤解なんだ…っどうして聞いてくれねぇんだよっ…。


           ───── END ─────

 ──────────────────── さっぱり意味が判らなかった。 (裏SSは脳内変換でお願いします。) -------------------- 2010.06.29