06.時代は旧型よりも新型を求めるのだ。やっぱり2より3? 幹部達と対面し、そのツラを満足するまで堪能し続けた1分57秒。 そこから更に納得するまで堪能し続けた5分26秒。 ふと気付けば、千鶴ちゃんに対する尋問は序盤に差し掛かっていた。 「男子たるもの、死ぬ覚悟くらいできてんだろ?お前も諦めて腹くくっちまいな。」 永倉新八の言い放った台詞。 その台詞の中のある言葉に千鶴ちゃんがピクリ反応したのは当然だろう。 ”男子たるもの”って言われても私達男装してるだけで女の子だし。 ただ、千鶴ちゃんは緊張が続き過ぎてそれを忘れてたんだろうそれを今更思い出したように声を洩らした。 「あ」 私とを交互に見る千鶴ちゃん。 「(大丈夫。必ずどうにかするから。)」 「(そうよ?男なんて所詮単純な生き物なんだから。)」 「(っはい…。)」 そして、それに応えるように目で合図する私と。 しかし千鶴ちゃんも随分アイコンタクトに慣れたようで…って言ってる場合じゃなかった。 この後、ついにアレが訪れる(現れる?)のだ。 最初の第一関門である ” 誰 に し よ う か な ? ” を決定する最初のフラグが。 このフラグで先ずは三人に絞られる。 そしてその直後、その三人を一人に絞り込む事になる。 そう、そのたった2回で今後の全てが確定するのだ ──────────────────── がしかし。 ───── この私に死角など存在しないわ。 フラグとなる選択の場を見逃すような私じゃない。 ましてその選択肢を間違う程、私は愚かな女ではなくってよ! 私がこの場面を既読スキップしたのは紛う事無き事実だけれどスキップしてるからといって画面を見てなかった訳じゃない。 3倍速で流れていくその場面をも脳裏に焼き付けてあるのだ。 「土方さん、結論も出ないし一旦こいつを部屋に戻して構いませんか? 同席させた状態で誰かが機密を洩らせば処分も何も殺すほかなくなる。」 纏まらない状況に、そう切り出した斉藤一と 「そうだな、頼めるか?」 それにOKを出した土方歳三。 ───── よし任せろ!大船に乗ったつもりでこの私に任せるがいい!!! 私は斉藤一の代弁者として心の中でそう叫び、 ───── 、私の話を聞いていなかったの?そのだらしなく脂下がったニヤケ顔をどうにかなさいよ全く…。 の叱咤激励を受け、意気込みも新たに次の場面へと向うべく己の足で立ち上がったのだった。 「あの…。」 「どうかなさいましたか?」 「お二人は…どう思われますか?」 「若様。お二人…ではありません。」 「あっ!ごめんなさい格さん。」 「それでよろしいのですよ若様。で、何を我々に聞きたいのですか?」 部屋に戻され、一人何やら思案していた千鶴ちゃんが口を開いた。 「和解は…難しいと思いますか?」 「私は先ず無理だと思います。けれど…助さん、どう考える?」 「ああそうだな、私は…。」 ───── どうなの? ───── この直後にフラグが発生するわ。 ───── 任せて構わないかしら? ───── 当然でしょ。千鶴ちゃんを上手く誘導するわ。 ───── そう。けれど忘れてるんじゃない? ───── 何を? ───── 千鶴ちゃんを誘導してフラグを無事立てたとして。その後よ? ───── その後って…どういう意味? ───── 誘導するのは、貴女かもしれないけど…。 ───── (何か嫌な予感しかしないのは何故!?) ───── 用意するのは貴女。そしてそれに乗るのは千鶴ちゃん。 ───── だから何っ! ───── 落ち着いて聞いてくれる。 ───── おおおおおおおっおっ落ち着いてるわっ! ───── 選択肢を選ぶのはかもしれないけれど、それを口にするのは千鶴ちゃんよ? ───── 解ってるけど? ───── ならそれが何を意味するか…解っているのかしら? ───── 何を意味って…………。 ───── 解りやすく説明しましょうか? ───── ええ。 ───── がゲーム機本体で千鶴ちゃんがコントローラーという事よ。 ───── …………………………それは盲点だったわ。 「助さん……?」 「っ申し訳ありません若様。そうですね…私も彼等から理解を得るのは難しいかと思います。しかし……。」 「何かあるんですか?」 ごめんなさい千鶴ちゃん。 私は自分がPS2だという事実を今理解した所なの。 だからお願い私に今少し時間を頂戴!!! 私が…私がPS2である事実を受け入れられる時間をっ! ───── 、今の時代ハードはやっぱりPS3だと思うわ。 だから時間をくれと言ってるのが聞えないのかこの女はっ!!!!! -------------------- 2010.03.02 ← □ →